至福のひととき
(60代女性)

苦味のおいしいコーヒーと好きな作家の本とほんの少しのクッキーなどがあれば、それがわたしの至福のとき。でも、このひとときを迎えるためには条件がある。それは目の前に仕事がないこと。締め切りの迫った原稿、台所の洗い物、散らかった室内などなど・・・。家にいてはとても無理です。そこで、読みたい本を二、三冊持って温泉にでも行けたら、というのが最近のわたしのささやかな願望でした。

それが近々叶うことになりました。ようやく連休がとれた夫と二人で山奥の温泉にという計画です。まだ雪もあり、温泉以外は何もない所を選びました。

持って行く本の一冊は決まっています。読みかけの「イエスの言葉ーケセン語訳」。ケセン語訳聖書を書いた山浦玄嗣さんが東日本大震災の後に書いた本です。読書と温泉以外は何もしない三日間。至福の時となりますように。(2012年4月1日発行つのぶえ掲載)